旅行記事

スペイン 2

3/17/2016

 実質初日はまずレンタサイクルでバルセロナ市街をサイクリングしながら目的地をハシゴ予定。即座にホテル近くのレンタサイクルの店を見つけ幸先上々。11hで11€、15€渡すと釣りが3€。ムハハ。早速海外ならではの軽い挨拶。1€足りないと言うと、茶目っ気顔で残りを渡してきた。見たか、これが日本でいうところのテヘペロだ。返却時には喜んでチップを進呈しようではないか。バルセロナは人混みに溢れる都会だ。人も車も進むスピードがスロウせいか、自転車でそれらをスルリと走り抜けていく疾走感がたまらない。知らない街で自転車に乗っていると昔も今も何も変わってない夏休みのような眩しさが降りてきて、ひとり浦島太郎の気持ちになる。同級生達はみな仕事中だろう。みな大人だ。なあんて。

 そんな感慨も束の間にミースのバルセロナ・パビリオンに着いた。低層水平に伸びた石貼りの建物が道路からチラリ。広場からゆったりとした引きで現れる。建築の徒であれば、コルビュジェ、ライトと共にいくども写真や文章でお目にかかってきた建築がなんとも無防備に横たわっている。受付がまだ始まってないように見えるが、何人かが入口脇から勝手に入り込んでいる。建物を回り込むと裏側にもアプローチが2ヶ所。それぞれ趣が違う。戻ると受付の人がいて入場が出来た。中に入ると写真で見たままの空間が顕在している。水盤とブロンズ像を正面に見ると左右の扉が外され、内外はより親密にされている。無愛想な大理石に囲まれたこの函は、まるでこの神秘性を担保するための偽装のようだ。簡素な壁に囲まれ切り取られた光と空、変容する最小限の庭、これはまるで禅庭の手法。室内壁は全て同じ石から切り取られたであろう模様が反復する壁は光を帯びると淡く、影を帯びると濃く、空間に濃淡を落としていく。その嶺線として中央付近に配される壁一枚がその効果を明瞭にしていく。建物外には、建物の延べ床倍ぐらいの水盤がはられ、広々とした庇がかけられた半外の空間がある。日射しが直接なく暑過ぎない、風が心地良く、外の移ろいが享受でき、室内と違って汚れや騒音、匂いとかく神経がちなものへ寛容だ。そうして僕たちはちっぽけな個の存在や財産を忘れ自然の偉大さを少し肖る。

 続いて今日はガウディ建築を一望していく。一番バッターはグエル公園。険しい坂を登り辿り着く。チケットを購入すると、入場制限があり、30分程辺りをぶらつく。グエル公園の周りも公園なのだが、グエル公園本陣を上から俯瞰してみようと、更なる高みを目指す。木々に阻まれグエル公園はあまり良く見えないが、まだ上に登る人達が。。。疲れたな。あのぅ、その先何があるんですかぁ、聞いてみようかな。なんて思ってはいけない。答えが知りたいのではない。自分の手と足を動かし、目で見て感じないと済まない性分なのだ!と、山登るあるある、自問自答症候群。これは危険だ。高山病だ。で、結局何もなかったよ。で、時間潰しも頃よくグエル公園中央広場に入場。広場中心付近は無愛想なほど何もない砂地が広がっているのだけど、局所的高密度に人が群がっているのがかの有名な波打つベンチであろう。中央広場を縁取るように、またベンチは襞状に配されているので、人が向いあったり、ハスになったり、隣あったりと実にファジーなベンチだ。この広場の直ぐ脇に接するか否かの距離に3階建ての建物がある。見比べると不思議な違和感。そう、これは浮遊感。広場を降りていくと広場下では無数の柱が林立して支える人工地盤の広場となっていた。ちょっと待って。書いてて疲れてきたけど、これまだ半分ぐらいだから流しながら読んでね。で、グエル公園正面の入場口双翼となる建物に行列。二度と来ないかも知れないとなるとついつい並びたくなるのが人情。せっかくだから。ガウディが生前住んでいたと言われる建物だ。内部青い壁がギミックのような妖しさだが、ガウディ建築から受ける印象は機能性と遊び心、構造の合理性と流線的なフォルムという相反するかのような要素が止揚を経て必然へと帰着してガウディ建築足らんとしている。

 さて、次に向かうはスペイン建築の王道、はやくも歴史貫を募らせながらも現在進行形の建築サグラダ・ファミリア。見学と工事が同時進行し、ファサード面にも時間の趣と真新しい素材感が併存している。サグラダ・ファミリアの真新しい壁は何か受け入れがたいものがある。古びた素材であるほど神々しさを助長する何か。裏手からチケットを購入し、表に回り入場する。巨大な伽藍、上へと突き刺さる数々の柱、その隙間からこぼれ落ちてくるような光。風の谷のナウシカが腐海の地下から流砂を見上げたような光景だ。これとそれは同じでない。だが井戸の底そこから見上げたような光のシャワーがここにある。

こぼれ落ちるような光、ステンドグラスの西日から朱色に拡散する光、静寂な光が、大伽藍の中で様々な地場を奏でている。

 続いてサカ・ミラ。波打つ外壁のフォルムと表現主義的な鋳鉄の手摺が特徴的。建物は道路いっぱい迫り出ている為、量塊的な建物のようだが中に入ると二つのライトウェルが建物を貫き、屋上はオブジェクティブな煙突や尖塔、流動的な通路、階段上の起伏は公園のような楽しさと自由さに溢れた希有な屋上庭園となっている。また下階のアパートメントはこのライトウェルを囲む8の字プラン、各室に万遍ない光を行き渡らせ、チェーンのように繋がった室と矩形に囚われない空間たちが驚きと遊び心を与えている。

 本日最後のガウディ、サカ・バルト。ファサードはモザイクタイルが散りばめられ仮面のようなバルコニーの手摺が印象的。内部アプローチから覗く曲線的な階段はいかにも表現主義的だ。中も曲線的な天井・壁・窓・建具に至る隅々まで曲線で埋め尽くされ、音声ガイドがなかったら辟易していただろう。が、それもガイドの説明を聞き、あっ、なるほど、と過剰な曲線が気にならなくなってくるのも、至る所々の曲線は人体工学に基づき細かく行き届いた気遣いや機能性が担保されているからだろう。ガウディとは実に職人的に建築を作っているのだ。

 日も沈み始め、軽く腹ごしらえ。フランス同様スペインもパンが主食、しかも堅いパンが多いのであまりパンばかり食べていると口の中が切れて痛い。中華鍋をふるうファーストフードのような焼飯、焼麺の店があった。ライスヌードルに野菜・卵をアジア各国のタレで炒める。パクチーをトッピング、青唐辛子をつけた醤油のようなソースを少しかける。美味い!

 まだまだ行くど~。本日最後はサンタ・カタリーナ市場だ。雑誌で見かけ近くだったついでに見たのだけどイマイチ。一方ホテル近くの市場に行くと、こちらは中々迫力ある味が出ている。工場のようないでたちで、色鮮やかに並んだ生肉の店頭をくぐると様々な店が立ち並び、カウンター付きバルのような所で飲み食いする人が入り交じり賑わっている。こうした古びた味わいを見事に活かしたお洒落なお店が一つあるだけで、市場全体の空気を一変させてしまうかのような、類は友を呼び相乗効果と多様さを生んでいる。今日は街中を自転車でたくさん走り、排気ガスにまみれたせいか熱っぽい。せっかく花粉症シーズンの国外脱出にもかかわらずマスクが手放せない。はやく寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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