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旅行記事

カンボジア

夕刻。毛むくじゃらの緑。パラパラと大地をかざす織物。茶色。オレンジ色。プールの後のタオルに包まれた温かさ。テトラポットのように打ち寄せる人の群れ。熱気の畝。土埃の蒸霧。夜。パチパチ跳ね回る国道。光を呑み込みぐいぐい喜びと力を増す影に囲まれる。トロピカルな毒液を吐き散らすネオンの蛇。異民たち。抽斗のような色香の楽屋、垂れながし。口溶けとエレクトリックハイテンション灯籠流し。回る回る回る屋台。冷ややかな蛍光灯に似た部屋。朝。再び土埃。見る見る子供。道。意味をすっ裸に晒された建造物。新しく古い架け橋。きらめく光りの束と様々。三柱神、女、男。ルビン。被弾。死屍累々たる黒の椰子。頭陀袋の水面に浮かぶ900年のしぐさ。ギヤのような光りと影の咬合。重く頭をもたげる肉の断層。知らない祈り。五人並ぶと一人オチ。窓、スカスカの虚空が通り抜けるこちらとあちらの出逢いのように、あるいは髪型。お金を求める子供。Sorryじゃないという。兀として眠る番人。頼もしい親子。石の糞。日常。力加減を知らない壮大な抱擁と繊細な愛情。無器用な媚態。小鳥のように微睡ろんでいる。老婆のような道。全てが美しく無重力な感慨。メニューのない水上レストラン。世界のどこかで生きている。私はそれを知らない。働く子供。人人。無垢な笑顔。みな生きれ。


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