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旅行記事

フランス7

朝6:14分の列車。危うく寝坊しそうになったぜ。ナンシーとシュルースで乗り換え2回。12:56分ベルフォールに着く。ロンシャン行きの列車で徒歩か、タクシーが宜しいと聞く。タクシー乗り場に向かうと、タクシーねーよ。待てども暮らせどもタクシー来ないよ。で、ロンシャン行きの列車発車時刻を聞くと5:00!なんと。ということでインフォメーションでタクシーを呼んで貰う。藤村俊二のような陽気な駅長(?)が懇ろ対応してくれた。  タクシーに乗り込み20分。小高い丘の上にそれらしきものが見えてきた!天候は快晴。坂のアプローチを登ると建物を脇目にだろうか、あの分厚いコンクリートに穿たれたステンドグラスのポツ孔を正面に捉える。建物をぐるりと周遊して、ここでもやはり入口を裏手から入る恰好だ。中に入ると、ノートルダムの荘厳さとはまた違う空気。静粛でありながら、美しい光の織物に息を呑む。まるで散文のように光は個々の美を自由に詩う。小さな礼拝堂の静かに降り注ぐ光。ステンドグラスからの眩い光。天井のフォルムを軽やかに浮かす柔らかい光。マリア像を讃える光。そして小上がりの礼拝席。蝋燭を掲げるニッチ。床の不規則な目地。そうした光の交合いや設えの一つ一つが不協和音となることなく、まるで交響曲のようにあの有機的なフォルムに収斂されている。やはりコルビュジェを見にフランスに来る価値がある。時間も昼過ぎ、西日の射すステンドグラスがいい。外に出ると東側に広場のような祭壇がある。午前・昼にはちょうど光に満たされるであろう心地よい場だ。祭壇に立つとそこからロンシャンの街が見下ろせる絶景である。至るところに場の空気を計算尽くし、近代合理主義・ピュリズムの提唱者でもあるコルビュジェが、ある種裏切り行為のようなロンシャンのフォルムに至る軌跡には、奇跡的なものを感じる。  時間を気にせず存分に味わい駅に向かうと、目の先を列車が通り過ぎていく。2時間半待ち。こんな辺境の地でまたしてもなんてこった、で余韻に浸る。


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